エネルギー安全保障

2022/07/29
 ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めてから5か月がたった。多くの一般人も攻撃を受けて亡くなっている。ロシアの暴挙である。ロシアは豊富な天然資源を持っており、これが戦争を継続できる背景にある。また諸外国に対する経済的な武器となっている。
 天然ガスの約40%をロシア産に依存するドイツに対して、天然ガスパイプラインの供給を停止して揺さぶりをかけている。そして、サハリン2の運営主体の再編を命じる大統領令にも署名して、日本にも揺さぶりをかけてきた。日本の天然ガスのロシア依存度は約9%である。
 今年は真夏になる前の6月に電力受給逼迫注意報が出されて人々を慌てさせた。日本では電力不足が問題になっている。原発稼働反対の世論の中で、なかなか原子力発電に頼ることはできない。また二酸化炭素削減、脱炭素、カーボンニュートラルと叫ばれる中で、火力発電も目の敵にされがちである。再生エネルギーへの転換ということで、太陽光発電、風力発電が注目され、開発も進んでいるが、太陽が出ていなければ発電できない、風が吹かなければ発電できない。電力の安定供給という点において課題がある。水素、アンモニアを燃料とした発電が期待されているが、これら燃料も石油、天然ガスと同様、輸入にたよることになる。  
 日本のエネルギー自給率は2018年11.8%である。エネルギーの自立ということをもっと重視してエネルギー問題を考えるべきではないか。日本の地熱資源は世界第3位だ。また、日本は周囲を海に囲まれ、黒潮や対馬海流が列島に沿うように流れている。そうした日本の自然力の特徴を活かす地熱発電や海流発電などの研究、技術開発に力を注いでいくべきだ。電力会社や民間企業が地熱発電に取り組んでいる。業務スーパー創業者の沼田昭二さんは「町おこしエネルギー」を設立して地熱発電に取り組んでいる話しを最近知った。そのような取り組みを応援したい。そして、地道な取り組みが世論に広がり、大規模な国の取り組みとして動き出すことを期待したい。