日本の論点2024

日経大予測2024 これからの日本の論点(日本経済新聞出版)と、日本の論点2024-2025 大前研一(プレジデント社)を読んだ。年の初めに読むつもりでいたが、いつの間にか積読のまま半年が過ぎてしまった。

日経大予測は、日経のコメンテーター編集委員らによる解説である。日本の論点 大前研一は、プレジデント誌1年分を素材として書籍化したもので、少々挑発的な言葉や大前研一の自己アピールがある。やはり週刊誌的雰囲気だ。

日経大予測は、3つのキーワードとして、生成AI、グローバルサウス、世界で相次ぐ重要選挙、を上げている。日本の論点 大前研一は、日本編の巻頭言に観光立国を、海外編の巻頭言にロシアを取り上げている。

ロシア・ウクライナ戦争、アメリカ大統領選挙なども目が離せないが、先ずは日本が気になる。

東京証券取引所グロース・スタンダード上場企業のうち約4割のPBRが1を下回っている。世界の主要市場の中で、日本のPBRの低さは突出している。出生数77万人余りでピーク時の4割。少子化は津波のように押し寄せてくる。すでに食い止めることはできないらしい。日本の平均賃金はアメリカのほぼ半分だ。賃上げのためには生産性の向上が欠かせない。

国が膨大な借金を抱えながら、更に防衛費、少子化対策、脱炭素の推進に予算が必要だ。それでもなお政治家は補助金、給付金のバラマキを競っている。国民は甘えていないだろうか。

生産性向上に必要なDXが成果をあげないのは、発注側に知識がないことと、ベンダーが自社に都合のいいシステムしか作らないからだという。日本人の英語力が劣っているのは、既存の英語教師を守るために、読み書き中心の教育を変えられず、英語圏から招いた英語教師を活かすこともできないからだ。日本人の自分の仕事に対するエンゲージメントが低いのも、半分は当人の自覚の問題ではなかろうか。

社会の進化を止めているのは、元をたどれば国民一人ひとり、自分かもしれない。私利私欲を捨てて、古い慣習に囚われず、真剣に考える。リスキリングに努める。やがてエンゲージメントが上がり、アイデアやイノベーションが生まれ、職場が変わり、社会が変わることを期待したい。

ウクライナ戦争や米中対立によるインフレの波は、日本にとってはデフレ脱却の追い風らしい。インバウンドの増加も追い風だ。追い風を満帆で受けて、2024年、少しでもいい方向に進みますように。

以上