日本のスポーツは強くなった
パリオリンピックで日本選手団は金メダル20個を獲得して国別順位の3位。メダル合計45個。海外オリンピックでの最高の成績を収めた。3年前の東京オリンピックでも金メダル27個で3位、メダル総数は58個であった。かつて日本選手の成績は低迷し、1996年のアトランタオリンピックでの金メダルは柔道の3つだけだった。そこからの巻き返しである。
日本のスポーツが強くなったのは、スポーツ振興、施設の整備に国をあげて取り組んできたことが大きいという。選手を支えるコーチ陣、協会の努力もあるであろう。テレビ中継で外国人コーチを多く見かけたのも驚きであった。世界の優れたコーチを招き、指導を受けることの大切さを示している。選手たちの頑張りと、それを支える体制が旨く嚙み合った。
やり投げで金メダルを取った北口榛花選手の話も興味深い。学生時代に自らチェコのコーチに連絡を取り、単身でチェコに留学したという。その意慾と行動力がすばらしい。チェコでも知られた存在なのか、金メダルを獲得した後にチェコのテレビ局のインタビューを受けていた。チェコ語なのであろう。滔々と答えていたのには驚いた。あっぱれである。
スイスのビジネススクールIMDが発表する世界競争力年鑑2023によれば、日本の競争力は35位だ。台湾6位、中国21位、韓国28位をはるかに下回る。それでいて、大人の対応なのか、あきらめなのか、マスコミの報道も世間も冷めているところがもどかしい。アメリカへ留学する人も減っていて、コロナ前のデータでは、中国、インド、韓国などからの留学者数が上位で、日本は8位のようだ。
国は手をこまねいているわけではないと言うであろう。現在は第6期科学技術・イノベーション基本計画が進行している。科学技術・イノベーション政策の企画立案及び総合調整を行うのが総合科学技術・イノベーション会議であり、この前身の総合科学技術会議は2001年に設立された。皮肉にも、総合科学技術会議が始まって以来、日本の科学技術、競争力は弱体化の一途である。総合科学技術・イノベーション会議は機能していると言えるのか。メンバーの政治家、有識者には、事の本質を見極め、スポーツ界に倣い今後の巻き返しをお願いしたい。
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