DXは進むのか
日本経済を復活させるためには生産性を上げろとよく言われる。その生産性を上げる手段として取り上げられるのがDX、デジタルトランスフォーメーションだ。DXは、デジタル技術を使って仕事や社会の仕組みを効率的なものに変革していこうというコンセプトであるが、日本では仕事のある部分をデジタルで置き換えることに終始していて、仕組みを変えるような本来の意味でのDXができていないと言われている。日本のデジタル競争力は世界からかなり遅れをとっているらしい。
都内の区立公共施設で会議室を時々使わせてもらっている。使用料が安くてありがたい。会議室の予約はWebサイトからもできる。但し問題は、予約を確定させるためには使用日の前日までに施設の窓口まで行って料金を支払わなければならないことだ。そして窓口に行くと、Webで情報を入力したのにも拘わらず、申込用紙に名前、連絡先、予約の会議室名などの記入が求められる。利用当日にも、利用前に用紙に会議室名、利用者名、利用者人数などの記入が求められ、会議が終われば、使用後の確認事項のチェックなどの記入が求められる。なんという手間だ。Webサイトに入力したのは何だったのかと思わずにはいられない。
一応、その公共施設ではサービス向上のための意見聴取の機会が設けられている。Web経由で料金支払いができて予約確定まで完結できるようにしてほしいとの意見を提出した。しかし、反応はない。だれも利便性向上、作業効率の向上、DXなど眼中にないかのようだ。
公共施設として窓口係の雇用維持を考えてのことなのか。近所に住む人だけの利用を想定しているのか、デジタルに慣れないお年寄りに合わせた仕組みにしているということなのか。でも事前に窓口まで行って料金を支払うのは二度手間で、お年寄りにとっても煩わしいはずだ。
雇用は大事だし、明日も今日の繰り返しであれば、ある意味幸せだ。煩わしさを受け入れるゆとりがまだあるということかもしれない。多くの人にとってDXは他人ごとである。いつになったら会議室予約システムは改善されるだろう。待つしかなさそうだ。
以上