鳥人間
琵琶湖で鳥人間コンテストが毎年開催されている。水面から10mの高さのスタート台から人力飛行機を飛ばして、着水までの飛行距離を競う大会だ。数多くの大学のサークルなどが参加していて、テレビ放送される。
11月24、25日に電気通信大学で学園祭「調布際」が開催された。電通大技術士会のイベントとして、25日に人力飛行機製作サークル「U.E.C.wings」代表の大学3年生に講演してもらった。持ち時間内に講演を終わってくれるのだろうかとの年寄り幹事たちの心配をよそに、1分違わずに終えてくれた。内容も講演態度もすばらしく、老技術士たちの賞賛しきりであった。
その講演によれば、サークルに参加している学生たちの生活は忙しい。学生として授業に出席するのは勿論のこと、夕方から夜11時過ぎまで飛行機の製作にあたり、家に帰ってから授業の課題に取り組むと、睡眠時間は4時間ほどになってしまう。休日も昼から出て行き、夜11時過ぎまで飛行機の製作をしているらしい。
飛行機を完成させるまでには、計画、製作、組立、試験、完成という工程がある。いかに軽く、充分な強度のある飛行機を設計するか。いかに設計通りの部品を手際よく製作して、壊すことなく組み上げるか。主翼の荷重試験を学校構内で行い、テストフライトは静岡県富士川滑空場の協力を得て行っている。その試験は、走行試験、ジャンプ試験、短距離飛行試験というステップで進めて行く。操縦者と支援者の息が合わないと機体を損傷してしまう。
飛行機製作プロジェクトは1年で回していかなければならない。実際に機体を製作できる期間は半年ほどだ。毎年経験者は卒業していき、新入生が入ってくる。忙しい学生生活の中で、サークル活動に対するモチベーションを維持していくことはなかなかできることではない。
リーダーともなれば、工程管理をはじめ、メンバーのチームワーク、モチベーションを維持する組織運営、製作の技術やノウハウの承継にも神経を使っていかなければならない。大変厳しい役割である。学校の授業では得られない生きた貴重な経験だ。プロジェクトが成功した時の喜びはひとしおであろう。U.E.C.wingsとしての最長記録は904.03mだ。
人力飛行機製作サークル同士の交流会があって、学校間でお互いに技術や経験を共有しているらしい。各校のサークルが競いながらも協力するつながりもあるのがすばらしい。そんな学生たちが頼もしい。小生には若干のカンパをするぐらいのことしかできないが、挑戦する学生たちを心の中で応援している。
以上