楽しい日本

自民党議員の裏金問題で国会が揺れる中、石破茂首相は当初の発言を翻し早々に衆議院解散総選挙を行った。これが批判を呼び、内閣支持率を下げた。短命の首相で終わるとの評判がもっぱらであった。

しかしここのところ、1月、2月と支持率を上げてきている。どうなることかと心配されていたトランプ大統領との会談も、無難に終えたというのが大方の見方のようだ。石破・トランプ会談が成功したとか、失敗したとかの話よりも、トランプ大統領が次々に繰り出す世界を揺るがすような発言に衆目が集まっていたということかもしれない。

1月24日、石破首相は、衆議院本会議及び参議院本会議で、第217回国会における施政方針演説を行った。キーワードは、「楽しい日本」と「地方創生2.0」。「楽しい日本」を実現するための政策の核心は「地方創生2.0」で、「令和の日本列島改造」として強力に進めると述べた。

これからの20年で生産年齢人口が2割減少する。人口増加期に作り上げられた経済社会システムから、中長期的に信頼される持続可能なシステムへと転換していくことが求められているとしている。ジャパンアズナンバーワンの時代を知る身としては、下降線を感じるなんとも残念なことではあるが、この現状認識を受け入れざるを得ず、この方向で進むのは正しいと思う。

「強い日本」、「豊かな日本」を経て、これからは「楽しい日本」を目指すという。これは堺屋太一の著書からの引用とのことだ。「楽しい日本」とは、すべての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し、「今日よりも明日はよくなる」と実感できる。多様な価値観を持つ一人ひとりが、互いに尊重し合い、自己実現をはかっていける。そうした活力ある国家。

理想的な社会ではないか。この方向性に共感を覚える。人口が縮小していく状況を奇貨として、GDPの数値に惑わされることなく、実質的に素晴らしい社会を目指してもらいたい。そして一人ひとりもその社会を作る一員として努めることを楽しんでいきたい。

以上