街並み
4月に息子家族が暮らすイギリスを訪ねてきた。Warwick大学の、家族用の2階建てタウンハウスに住んでいる。玄関を出ると芝生が広がっていて、4歳の孫のいい遊び場になっている。大学も緑が多い自然の中にある。すばらしい環境だ。
チェシントン・ワールド・オブ・アドベンチャーズ遊園地へ行った。ロンドンのユーストン駅からチェシントン・サウス駅まで約1時間。車窓からロンドン郊外の景色を眺めていた。住宅街の雰囲気が日本とは違う。何が違うのか。まず、家の外見がシンプルだ。どの家も1階と2階がつながった立方体に屋根がのっている感じ。家の壁面に凹凸はほとんどない。壁面の色も、屋根の色も同じだ。住宅街全体で統一感があって落ち着いているように見える。家と家の間隔がある程度はなれているからこそかもしれない。
日本の家はどうか。1階と2階の大きさや形が違うのが普通だ。壁面には凹凸が多い。1階、2階それぞれの形に応じた形の屋根がのっている。家の色も様々だ。住宅街全体でのまとまりはない。不思議なもので、日本では同じ形の家が何軒も並んでいる方が奇異に感じるだろう。独自性を重んじそうなイギリスで、家の形はどれも似ている。他人との同調を重んじる日本で、人の家とは違う外見にこだわっているようだ。さらに道沿いの電柱、電線が住宅街の乱雑さを増している。
イギリスの他に、ベルギー、フランスにも行ってきた。どの国にも古い時代の街並みが残っていてすばらしい。フランスのパリはさすがに世界一の観光地だ。町全体が芸術品のようだ。
そんな中で残念に思うのが、ペンキで描かれた大きな落書きだ。ロンドンでも、ブリュッセルでも、パリでも目にした。建物の壁面、お店のシャッター、列車にまで。街の景観がだいなしだ。どうやってあんな高いところや危険な場所にと思うところにも書かれている。危険を冒してまで落書きしていることに驚きも感じるが、情けないことだ。落書きを消そうとしている気配は見られず、諦めてしまっているようだ。
日本でも欧米のまねをしたような落書きを見かけることがあるが、そんな風潮は広がってほしくない。封じ込めなければいけない。そして我々にできることは、ささやかな街並みかもしれないが、整理、整頓、清掃、清潔にすること。行政、電力会社、通信会社には、無電柱化を促進してほしい。
以上