暑い夏

今年の夏は暑かった。6〜8月の平均気温は1991〜2020年の平均を2.36度上回り、観測史上最も暑い夏だった。群馬県伊勢崎市では41.8℃という国内最高気温記録に並ぶ暑さを観測した。40℃以上を観測した地点は13都府県の延べ30地点にのぼり、猛暑日数・地点数ともに過去最多となった。そして、耐えなければいけないのは暑さだけではない。気温の上昇に伴う異常気象により、各地で集中豪雨や竜巻が相次ぎ、人々の生活に大きな被害をもたらした。

それでも9月も半ばとなると、まだまだ暑い日が続く中にも秋の気配を感じるようになってきた。多摩川の土手を散歩していたら、草むらの奥から鈴虫の鳴き声が聞こえてきた。その澄んだ音色はずいぶん離れたところまで響いてくるものだと驚いた。夜になれば、家の庭でもコオロギが鳴いている。もう秋だよと熱帯夜をせかしているようにも聞こえてくる。異常な暑さは虫たちにとっても迷惑なことだろう。

自分が子供の頃を振り返れば、夏の暑い日と言っても、30度を1、2度越えるぐらいであったように思う。テレビの天気予報で「危険な暑さ」などという表現を聞いた記憶もない。それが今では体温を越え、さらに40度越えだ。まさに命の危険にかかわる危険な暑さだ。地球温暖化は確実に進んでいるといわれる。氷河は後退し、北極、南極の氷も解けていく。10年後の地球はどうなっているのだろうと心配せずにはいられない。

日本の四季はすばらしいと教えられてきたが、だんだんと春と秋が短くなってきたように感じる。冬が過ぎたと思えばたちまちクーラーが必要な日々がやってくる。この夏が過ぎるとあっという間に寒い冬がやってくるのだろうか。

暖かく穏やかで花が咲き始める春。涼しく透き通った青空に野山の紅葉が映える秋、春夏秋冬それぞれに表情豊かな季節を楽しめる日本の気候に戻ってきてほしい。

以上