5年連続最高益

東京証券取引所プライム市場上場の3月期決算の約1000社の業績予想を日本経済新聞が集計したところ、5年連続の最高益になるという。5年連続の最高益は2008年の金融危機以降で初めてとなる。純利益率は6.3%で最高水準になる。失われた30年から脱却したのだろうか。日本経済が好調のようで喜ばしい。しかし、安心ばかりはしていられない。

 2025年の日本の国内粗鋼生産量は前年比4%減の8067万トンとなり、1969年以降で最低となった。米国に追い抜かれて中国、インド、米国に次ぐ4位になるようだ。中国の安価な鋼材が世界に輸出されて市況を悪化させている。日本の鉄鋼製品の約4割が輸出されていて、昨年の輸出量は4.2%減った。

 ソニーグループは2026年1月20日、テレビ事業を分離し、中国TCLエレクトロニクスとの合弁会社へ2027年4月に移管すると発表した。出資比率はTCLが51%、ソニーが49%だ。BRAVIA(ブラビア)やSonyブランドは継続するらしいが、日本のテレビ事業が衰退していくようで残念だ。

 2005年だったと思うが、米国出張の際にラスベガスで開催されるCES(Consumer Electronics Show)に立ち寄ったことがある。当時、液晶テレビと言えば日本メーカー全盛の時代で、日本メーカーのブースは賑やかだった。それに挑むサムスン、LGが更に大きなブースを構えて液晶テレビを並べていたのが印象的だった。TCLも液晶テレビを展示していたが、品質は劣るのだろうなという目で見ていた自分を思い出す。あれから20年。

 自動車の生産においても外資に頼る時代になってきた。鴻海精密工業が、三菱ふそうトラック・バスと日本で合弁会社をつくる。三菱ふそうバスの富山市の工場で、鴻海が開発するEVバスを生産するらしい。開発まで外資任せとなれば、日本は何をやるのだろうか。単なる労働力の提供か。

 5年連続最高益と言うが、その先はどうなっていくだろう。日本のものつくりは続けて行けるのだろうか。技術は進み、世界は変わっていく。同じものをいつまでも作り続けられると考えるのは無理な話だが、栄えたものが衰えていくのは残念であり不安を感じる。作るものを変え、業態を変えていかなければならない。5年連続最高益は、30年をかけてやっと企業が変革し適応してきたということかもしれない。それでも環境の変化は止まらない。益々イノベーションへの感覚を研ぎ澄まし、狙った分野に果敢に投資していくことを期待したい。

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