新プロジェクトX
NHKのプロジェクトXが4月6日(土)に18年ぶりに復活した。いつの間にか18年も経ったのかという思いである。中島みゆきによる主題歌「新・地上の星」は新たなレコーディングとのことだ。それでも、主題歌をはじめ、ナレーション、番組構成はそのまま昔を思い出させた。
今から思えば、旧プロジェクトXは、バブル景気が終わって経済が落ち込んでいく中で、自信を失わず頑張ろうとのメッセージだった。30年の景気低迷を経てようやく明るい兆しが感じられる今、新プロジェクトXが前向きな気持ちを勢いづける応援歌となってほしい。
新プロジェクトXの初回は、東京スカイツリーの建設工事。高さ634mの世界一の電波塔の建設で、のべ58万人が関わったとのことだ。がんを患いながらも現場に通う施行責任者、どのように634mもの電波塔を建設するかに悩む設計者、古い設備で厚い鉄板と格闘する鉄鋼加工職人、超高層で鉄骨を組み立てていく鳶職人。建設中に未曾有の東日本大震災の揺れに襲われたが、事故無く塔は耐えた。確かな設計、施工計画が生きた。そしてまた、鳶職人たちは地上600mの鉄骨の上で、大きな揺れに死を覚悟しながらも、怯むことなく不安定な部材の固定作業に取り掛かった。
電波塔の組み上げ作業は3つの鳶職人グループに任せられた。一つのグループは作業に無駄がなく一番作業が早かった。そのリーダーは中学を卒業すると鳶職人となり、日々ノートを付けながら技を磨いてきた。作業のはかどりの悪いグループがあった。橋梁建設で名のあるグループであったが、自分たちは井の中の蛙だったと悟った。
二つのグループは懇親飲み会を機会に教え学び合う関係になった。お互いに対抗意識がある状況において、プライドを捨てて教えを乞うことは簡単にできることではない。また、磨いてきた技を他人に教えることも広い心が無ければできない。
一人一人の責任感、日々の努力の積み重ね、大目標に向かって力を合わせることができたことで世界一の電波塔が完成したという、新プロジェクトXであった。
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