アメリカ大統領選挙2024
アメリカ大統領選挙は11月5日に投開票された。共和党候補のドナルド・トランプが4年ぶりに大統領に返り咲くことになった。選挙戦においては、民主党のカマラ・ハリス米副大統領との接戦になるとの予想であったが、ふたを開ければ激戦州7州すべてをトランプが制するなど、大差での決着となった。
トランプは、前回の2020年11月の選挙結果を覆そうとして手続きを妨害した。さらに、トランプ支持者の連邦議会議事堂への乱入占拠事件など、4つの刑事裁判に問われている身である。それにも関わらず今回の選挙では勝利した。
移民政策に厳しいトランプを、ヒスパニック系が支持した。30歳未満の有権者や黒人からの支持も増やした。製造業が衰退したラストベルトの白人労働者からも支持された。富豪のトランプが、経済的に恵まれない人々から支持されるのは何なのか。
あれだけの問題を起こし、刑事事件を抱えている人物が大統領に選ばれるということが理解できない。それでもアメリカの人々はトランプを選んだ。刑事裁判もお構いなし。ゴリ押しであっても何かをやってくれそうだという思い込みに対する期待であろうか。人々に不満が充満していて、その暴発のようでもある。
議会の改選結果により、上院、下院においても共和党が多数派となるトリプルレッドになった。トランプは自分が思うアメリカファーストの政策として、関税の引き上げ、強硬な対中国政策、移民問題の厳格化などを実行に移していくのであろう。
世界中で人々の不満が高まっていて右傾化が進んでいると言われる。そこにトランプ大統領のアメリカファーストである。大統領選挙そのものも誹謗中傷の応酬で、アメリカ大統領の品位や威厳は感じられなかった。理性よりも攻撃的な腕力による政治。米国内の分断、世界の分断、ブロック化が心配される。
何と言っても世界に与えるアメリカの影響力は大きい。トランプには何かと荒れた世界が来ることをイメージしてしまうのだが、共和党の多くの政治家の中から指名されるという関門を通過してきたはずだ。そして既に大統領の経験がある。強烈な表面的な言動の裏に、充分な理性と合理性も持っているであろうことに期待したい。
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