高市首相誕生

10月21日、自民党の高市早苗総裁が衆参両院の本会議で104代首相に指名された。高市氏は、5人が立候補した自民党総裁選挙の決選投票を経て総裁になったものの、それを見た公明党が26年間続いた自公連立政権から離脱した。少数与党の自民党総裁が首相に指名されるか危ぶまれる状況であったが、公明党に代わって維新が自民党と連立政権を樹立し、無所属議員の投票もあり、1回の投票で過半数を獲得して首相に指名された。

高市首相は所信表明演説で、何を実行するにしても「強い経済」をつくることが必要であり、強い経済を構築するために「責任ある積極財政」の考え方の下、戦略的に財政出動を行うと述べた。経済の強い成長を目指して「日本成長戦略会議」を立上げる。成長戦略の肝は、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障、健康医療安全保障、国土強靭化対策などの「危機管理投資だとした。防衛予算の「対GDP比2%水準」を今年度中に前倒して措置を講じる。演説のむすびでは、「必ずや日本列島を強く豊かに、日本を再び世界の高みに押し上げてまいります」と述べた。トランプ大統領の「Make America Great Again」を連想させる。

高市氏は、自民党総裁選で勝利した際に、「働いて働いて働いて働いて働いて参ります」とあいさつしていた。首相となって早速忙しい。26日、ASEAN首脳会議に出席。オーストラリア、マレーシア、フィリピンと首脳会談。28日には、トランプ大統領を迎賓館に迎えての日米首脳会談。米大統領専用ヘリコプター・マリーンワンにトランプ大統領と同乗して米海軍横須賀基地を訪問。30日には、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席。韓国の李在明大統領と40分ほど会談した。31日には、中国の習近平国家主席と会談した。

高関税を吹っ掛けるトランプ大統領、反日過激発言をしてきた李大統領、日本の領海を脅かす習近平国家主席との首脳会談。高市首相は難しい外交デビューを上手くこなした。国内外で好意的に評価されているようだ。極右とレッテルを貼られながらも、靖国神社秋の例大祭への参拝を見送り現実路線を示した。首脳会談では笑顔を振りまき、米軍横須賀基地では手を突き上げて取り巻く海兵隊員にあいさつした。女性首相ならではの強みを発揮したのではないだろうか。

女性の社会参画が国際的に見て遅れている言われる日本において、女性首相の誕生は画期的である。それだけでも日本は変わるのではないかとの強力なサインになった。国民の気持ち、雰囲気は大事である。外交デビューも大成功。高市首相の支持率は70%程で非常に高い。この先様々な難しい問題に向き合うことになるのであろうが、所信表明演説にあるように、日本列島を強く豊かにして、日本を再び世界の高みに押し上げるように、高市首相の指導力に期待したい。

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