存立危機事態
国会で、立憲民主党の岡田克也議員が行った台湾有事の認識を問う質問に対して、高市総理は「戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と発言した。これが大きな波紋を呼ぶこととなった。これに対して中国が、台湾は中国の国内問題であるとして反発を強めている。
事が大きくなったのは、中国の薛剣駐大阪総領事薛氏が、台湾有事は日本の「存立危機事態」になり得るとした高市首相の答弁を紹介する記事を自身のXアカウントで引用し、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇(ちゅうちょ)もなく斬ってやるしかない。覚悟が出来ているのか」と11月8日に書き込んだことだ。
これに対して日本国内では、日本政府が薛氏を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外退去処分にしろとの意見が出されるなど、反発が強まった。こうなると、中国政府も黙ってはいられない。日本に対する非難声明を発表し、日本産水産物の輸入停止や日本向け渡航の注意喚起を公告するなどの制裁措置をとってきた。
日本の武力行使は、自国が直接攻撃された時に限られていた。それを2015年に安保法制で、他国への攻撃でも日本が武力行使できる「集団的自衛権」へ拡大した。存立危機事態になれば、集団的自衛権を発動し、武力行使が可能になった。これまでの政権は、その運用についてあいまいにしてきた。それを今回高市首相が具体的な話に一歩踏み込んだことが問題だと言う。
高市首相の発言は、繰り返し具体的な説明を迫る岡田議員に対して答えたものだ。その発言も仮定の上での話であり、可能性を示しただけのように思われる。問題化した後で、質問者である岡田議員は、高市首相は発言に慎重であるべきであったと非難したようであるが、そのような発言に仕向けたのは当の本人である。
日本を囲む、中国、北朝鮮、ロシアの行動を見ていれば、武力行使についてあいまいな態度を取り続けることが正解だとは思えない。核兵器を持ち、常時周辺国を威嚇している国に対して、日本は武力行使をしませんと言っているだけで、平和が守られるとも思えない。軍隊、戦力、戦略について議論することには抵抗感を感じるが、危機感を持ち、具体的な議論を深めていくことが必要な状況にあるのではないだろうか。
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